鉄道や高速道路を利用するとき、「上り」と「下り」という言葉に戸惑ったことはありませんか?
とくに旅行や出張の予定があるときに、「これは東京に向かうの?地方に向かうの?」と迷ってしまう方は多いです。
実はこの「上り・下り」の考え方には、しっかりとしたルールがあります。
とはいえ、地域によって例外があったり、鉄道と道路で異なる決まりがあったりするので、知らないと混乱しがちです。
この記事では、「上り」と「下り」の基本的な意味から、鉄道・高速道路それぞれでの使い分け方、さらに一瞬で覚えられるコツまで、やさしく丁寧に解説します。
交通機関を使うたびに悩んでいた方も、この記事を読めばもう迷わなくなりますよ。
「上り」「下り」とは?基本の意味と考え方

東京を基準に決まるって本当?
鉄道や高速道路の「上り・下り」は、多くの場合「東京」を基準にして決められています。
東京に向かう方向を「上り」、東京から離れる方向を「下り」と呼ぶのが基本です。
この考え方は、全国の主要交通機関において幅広く適用されており、たとえば大阪発の新幹線が東京に向かうときは「上り」と表示されます。
また、関東エリアの私鉄でも同様に、都心方面が「上り」、郊外方面が「下り」となっています。
江戸時代から続くルールの由来
この区分けの起源は江戸時代にさかのぼります。当時、江戸(現在の東京)は政治や経済の中心地でした。
そのため、地方から江戸に向かうことを「上る」、江戸から地方へ行くことを「下る」と表現していたのです。
この上下の表現は、身分制度や文化的な中心地としての江戸の地位を反映しています。
江戸への「上洛」に似たニュアンスで、「上る」は敬意を込めた表現でもあったのです。
この考え方が明治以降の鉄道や道路網にも引き継がれ、今も基本ルールとして活用されています。
覚えやすい「上り」「下り」の見分け方
「東京に向かう=上り」と覚えよう
一番シンプルな覚え方は、「東京に向かう方向=上り」です。
反対に、東京から遠ざかる方向が「下り」。
この覚え方は、関東以外に住んでいる方にも役立ちます。
たとえば九州に住んでいる方が関西や東京へ移動する場合、方向感覚が狂いやすいですが、「東京に近づく方向=上り」と意識すればすぐに判断できます。
旅行や出張で初めての土地を訪れるときも、この基準を頭に入れておくと迷わずに済みます。
イメージで覚える「上=中心」「下=外」
「上り=中心に向かう」「下り=外に向かう」とイメージすれば、感覚的に理解しやすくなります。
都会へ向かう=上り、田舎や地方へ向かう=下り、という印象でも覚えやすいですね。
このイメージは視覚的にも有効で、たとえば地図の中心が東京であることを意識し、そこに近づく矢印が「上り」、離れる矢印が「下り」と考えると、視覚的にも納得できます。
また、「中心=賑やか」「外=静か」という生活感覚と結びつけると、より定着しやすくなります。
語呂合わせ・記憶テクニックも活用
例えば「上京する」は東京に行くこと、という言葉から「上=東京へ行く」と連想すると覚えやすくなります。
また、「かみ(上)=神様のいる中心」「しも(下)=下界」など、日本語の感覚にも通じます。
他にも「東京“UP”」と英語の感覚で覚えたり、「U(上)=都心、D(下)=地方」と簡略化した記憶法も便利です。
小さなお子さんや外国人観光客に教えるときにも、こうした語呂合わせやイメージ記憶は効果的です。
鉄道での「上り」「下り」の決まり方
新幹線や在来線の基本ルール
鉄道では、新幹線・在来線ともに東京に向かう方向を「上り」と定めることが多いです。
たとえば東海道新幹線では、大阪から東京へ向かう列車が「上り」、東京から大阪へ向かうのが「下り」となります。
JR各社の路線でも、東京都心部に向かう列車は「上り」と表示されており、路線図や駅の案内でも統一されています。
通勤通学に利用する人が多い路線では、朝の「上り」が混雑し、夕方の「下り」がすいてくる傾向があります。
地方路線で異なるケースとは?
地方では、必ずしも東京が基準ではないこともあります。たとえば北海道や九州などでは、地域の中心都市(札幌や福岡など)を起点として「上り」「下り」を決めていることがあります。
たとえば札幌に向かう路線では、札幌に近づく方を「上り」とし、遠ざかる方を「下り」としています。
このように、東京が関係しないローカル線では、地域内の重要都市を起点とすることで、実用的な区分けがされています。
観光列車や第三セクター路線では、特に独自ルールが設定されている場合もあるため、事前に確認が必要です。
主要路線別の一覧表でチェック
主要路線ごとの「上り・下り」の方向をまとめた表があると便利です。
自分がよく使う路線だけでも確認しておくと、スムーズに利用できます。
たとえば、東海道新幹線は「東京へ=上り」、山陽新幹線は「新大阪へ=上り」、東北新幹線は「東京へ=上り」といった具合です。
また、JR在来線では、山手線は一周しているため「内回り・外回り」と表現されることがあり、上り・下りの概念と異なるケースもあります。
旅行前に駅の掲示板や路線図で上り方向をチェックしておくと安心です。
高速道路での「上り」「下り」の見分け方
起点を意識するのがコツ
高速道路でも「起点」がとても重要です。東
京を起点にして、そこから遠ざかる方向が「下り」、東京に向かう方向が「上り」となります。
地図上では東京から放射状に延びる高速道路が多いため、進行方向を意識すれば自然と理解しやすくなります。
また、インターチェンジ(IC)やサービスエリア(SA)の案内板にも「上り線」「下り線」と表示されていることが多く、これを目安にすると判断がスムーズになります。
東京起点の高速道路の例
たとえば東名高速道路や中央自動車道などは、東京方面が「上り」です。
東京から名古屋、大阪方面に向かうときは「下り」になります。
また、東北自動車道や関越自動車道、常磐自動車道なども、すべて東京起点で「上り」「下り」が決められています。
これらは「日本道路公団」時代からのルールで、現在のNEXCO各社でも引き継がれています。
走行中に上り・下りを意識しておくと、サービスエリアの位置や渋滞情報の理解にも役立ちます。
地域ごとの例外(北海道・関西など)
北海道や関西など一部地域では、地域の中核都市を起点として独自に「上り」「下り」を設定している場合があります。
たとえば札幌や大阪が基準になるケースも。
関西では、名神高速道路が大阪を起点とし、大阪方面が「上り」、名古屋方面が「下り」とされています。
九州自動車道では、福岡を起点にして南下する方向を「下り」とするなど、地域の交通事情に合わせた独自ルールが設けられているのです。
地方をドライブするときは、現地の案内板での表記をよく確認しましょう。
高速道路で迷わない確認ポイント
標識やナビアプリには「上り」「下り」が明記されていることが多いので、出発前に確認しておくのが安心です。
地図アプリでは、進行方向の表示に注目しましょう。
また、カーナビでは目的地設定のときに「東京方面」「名古屋方面」といった案内が表示されるため、それをもとに「上り・下り」を判断できます。
さらに、高速バスの時刻表や路線図でも方向が記載されていることが多く、事前に確認しておくと混乱を避けられます。
交通以外での「上り」「下り」の使い方
経済や人生の比喩としての意味
「景気が上向き」「出世街道を上る」など、「上り」は良い方向性を示す言葉としても使われます。
反対に「下り坂になる」「成績が下がる」などは、ややネガティブな意味を含むことが多いです。
このように、「上り=向上・成功」、「下り=低下・衰退」といった印象が強く、日常会話やニュース、ビジネスシーンでも頻繁に使われています。
方向感覚だけでなく、言葉の持つニュアンスとして覚えておくと便利です。
言葉のイメージで広がる使い方
このように、「上り・下り」は交通に限らず、私たちの生活や感情を表す言葉としてもよく使われます。
意味の広がりを意識すると、表現の幅も広がります。
たとえば、「運気が上がる」「下り坂の人生」といったように、感情や運勢にも応用される言葉です。文学やドラマのセリフでも、「上り調子」「下降線」などといった形で登場することがあり、日本語の豊かさを感じさせます。
日常の中で言葉の使い方を意識することで、語彙力や表現力も自然と磨かれていきます。
まとめ|「上り」「下り」をもう迷わないために
「東京=中心」と覚えるだけでスッキリ
基本的には「東京に向かうのが上り」「東京から離れるのが下り」と覚えておけば、たいていのケースで対応できます。
このルールを頭に入れておけば、鉄道でも高速道路でも迷わず利用できます。
特に初めての場所に行くときや、複数の交通機関を乗り継ぐときには、このシンプルな原則が非常に役立ちます。
方向を知ることで、乗り間違いや時間ロスを防ぐことができ、安心して移動できます。
鉄道・高速道路・日常での使い分けを意識しよう
また、地方独自の例外や、交通以外の表現も知っておくと、より柔軟に理解できます。
言葉の意味をただ暗記するのではなく、背景やイメージで覚えると、自然と身についていきますよ。
家族や友人に説明するときも、自分の中でしっかり理解していれば、スムーズに伝えることができます。
「上り・下り」という言葉は単なる方向ではなく、文化や歴史も含んでいるのだと気づければ、日常生活がもっと豊かになるかもしれません。
